昭和の話 2

ある日の朝、小学校へ行く途中

川沿いの道を歩いていると

小さい川でかかっている橋のいくつかは、川の向こう側の家への入り口を兼ねていた

そんな橋の向こう側の家の前でおじさんが、鶏の首を掴んで立っていた

歩きながら何気なくみていると、

おじさんは鶏の首をスパっとはね、一瞬噴き出た血が止まると

足元にあった一斗缶の中へざぶんと入れた

一斗缶の中にはぐらぐらにお湯が沸いていて、その中から引き上げると

鶏の羽がざ〜と抜け落ちた

文章にして光景が浮かぶと、可愛そうで、気持ち悪いが、それをみた時は、あまりの手際の良さに、鶏ってああやって締めるのか

と、いたって冷静な感想を抱きながら小学校へ行った

学校が終わって帰宅後、母親に朝のその光景を話たが、その時も気持ち悪かったとか、かわいそうだったとかの話ではなく、鶏のしめ方という1つ新しいことを知ったという方向で話をした記憶がある

なので、それ以来鶏肉は食べられないということもない

それよりも、裏庭の梅の木に登ったら、木の幹にごっそり毛虫を見つけた時の方が、ゾッとした

刺激的な日常が溢れていたのかもしれない

昭和